日本介護支援専門員協会は徳島県徳島市で第13回全国大会を開催した。計11ブロックの持ち回りで行われている同大会は、四国での開催は初。徳島、香川、高知、愛媛の四国4県の支部が主催し、約800名が参加した。 大会数日前に行われた介護保険部会では、次期改定に向けた議論が始まったばかり。給付と負担に関する論点の中には、居宅介護支援の利用料導入も挙がっている。同協会としては、一貫して反対の立場だ。 柴口里則会長は初日の活動報告で、「年内の取りまとめに向け、今後急ピッチで議論が進められる。現場の声を届けるためにはスピーディな意見の集約が必要だ」と、今後協会が行うアンケート等への協力を呼びかけた。 また協会では、昨年よりモニター制をスタート。各支部から募った約400名のケアマネジャーが登録し、部会等での議題に応じて、素早く意見を寄せる仕組みを整えている。「現場の声を政策に反映していくためには、裏付けとなる数字が重要だ。いずれはシンクタンクを作って取りまとめができる体制を作りたい」と意向を示した。 基調講演を行った厚生労働省の大島一博局長は、地域づくりの重要性を述べた。制度創設から20年経った今、2040年に向け後半戦をどう乗り切るかの節目の時期にあると強調。サービスの担い手の減少や厳しい財政状況の中、地域の課題や困りごとを地域で解決する選択肢が重要になるとした。 「介護保険制度により、地域のつながりが薄れてしまった面もある。今後は制度を使わなくても地域で満足感を得られる工夫が必要だ」とし、介護保険前夜に少し戻るところもあるのではないかと述べた。またケアマネジャーには、「生活支援コーディネーターとも連携しながら、地域のかかわりのなかでさまざま資源を見つけてほしい」とエールを送った。 続いて行われたシンポジウムは、「新時代の介護支援専門員のあり方を自ら問う」がテーマ。四国4県で活動する、居宅や地域包括支援センター、小規模多機能、グループホームといった立場の異なるケアマネジャーが地域づくりにかかわる取り組みを発表した。 シンポジストの一人、扇ケアプランセンター(香川県高松市)の長田志保氏は、看護の専門性を生かし、医療との橋渡しを行っている。法人では訪問看護から始まり、療養通所介護、重症心身型生活介護などを展開しており、年齢の枠を超えた継続的な支援の重要性を感じてきたという。 医療依存度の高い人が多いことから、地域の介護職向けに医療の勉強会を開催したり、がん患者のために商店街の総菜屋にかけ合って食べやすいおかずを用意してもらうことも。「つなぐ力は無限の可能性を生み出す。介護保険の枠を超えて、それぞれの力を高めていく努力を続けたい」と力を込めた。 2日目の分科会では、「在宅医療に伴う自己決定・意思決定支援」「地域連携の方法や役割」など5分科会・28事例の発表が行われた。また、閉会後には、四国お遍路で根付く地域の文化「お接待」として、名物の徳島ラーメンや半田そうめんも振る舞われた。 |